院長メッセージ
『病院の部屋はなんで相部屋が多いの?』2018年7月20日
病院では多くの患者さんが共同生活しています。治療は皆さんそれぞれ違いますが当院では多くが4人の患者さんが共に病気と向き合うべく同室をお願いしております。つい10年ほど前まではまだかなりの病院に10人部屋とかはては16人部屋といったびっくりするような合宿所のような大部屋がありました。いまどき都会、街中では旅館やホテルでも相部屋宿泊などはないですよね。なぜ病院はどこも相部屋なんでしょうか?
お一人お一人に個室で治療することが理想とわかっていても今日、医療費でひねりだせるしくみの中では全部の患者さんに個室を準備することはきわめて困難です。医療費の高い米国では入院時の部屋代は高級ホテルの宿泊費を超えるのが普通ですがすべて個室が原則です。逆に個室では孤独で不安な人が希望してルームメイトを求めるような制度となっています。
お互いの立場を尊重して病院生活をお願いしている中、深夜にテレビを観ている人、夜遅くスマホのキータッチ音を消さずに使い続けるひと、たくさんのおみまいの方が部屋いっぱい、室外にまでおふれ出るようにこられたり、こどもさんが廊下を運動場がわりに走り回ったりと、いろいろ苦情をいただく場面に遭遇します。その折々にご注意申し上げますが、なかなかお聞き入れいただけない場合も見受けられます。限りある施設、制度の中でおたがい病気の身をいたわり合っていただき、どうかよろしくご配慮をとお願いする次第です。
当院の個室は現在の限られた医療費の中で、すこしでも安心感や癒しのある場を提供させていただくために皆様にご負担をお願いしてご用意しております。手術や濃厚な治療後、体も心もお辛い時におとなりの患者さんに気兼ねなく過ごすことができるなど必要に応じてご希望され、ご活用されている方も多くおられます。
治療中のみなさまおひとりおひとりに寄り添うことをモットーにしておりますが、どうかともに病気の身であることに思いをはせながらの院内での生活を患者さんご本人はもとよりご家族の皆様にも改めてお願いしたいものです。