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院長メッセージ

『持続可能な社会保障制度:「地域医療構想」について』 令和元年11月

 当院をご利用いただきありがとうございます。
7月、患者さん方を対象に病院の満足度調査をおこないました。全国の同規模主要病院との比較(ベンチマーク比較)では、外来待ち時間や入院アメニティー関連の項目でいくつか低い項目がありましたが、診療内容等に関しては外来・入院共に同等の結果が得られています。この結果をもとに、今後患者さん方に満足していただける改善を進めていきます。 ところで、皆様から「紹介状なしでは受診できないのはおかしい」「入院時から退院の話をされるのは変だ」等のご指摘を頂戴します。実はこれらは社会保障制度改革を目指す国から指示された内容に基づくものです。今回はこの事情について説明いたします。
日本は今後、未曽有の少子高齢化社会を迎えます。このため社会保障給付費(医療・介護・年金等)は年々増加し、高齢化がピーク迎える20年後(2040年)には、総費用190兆円(今の1.57倍)、国家予算に占める社会保障費が5割を超えるとも試算されています。2019年度の国家予算は約100兆円(社会保障費約32兆円)税収が約60兆円です。バブル崩壊から30年間での経済成長率はわずか2%であり、人口減少が進む日本では今後急速な経済成長は見込めません。社会保障制度の改革はまさに「待ったなし」の状況です。
10月28日、政府は経済財政諮問会議(内閣が経済学教授や企業トップから意見を聞く会議:内閣府のHP参照)で社会保障改革がテーマになりました。会議後、座長の安倍首相は「持続可能で安心できる地域医療・介護体制を構築するため、地域医療構想を実現する事が不可欠」と発言しています。つまり政府は「経済の視点」から「医療介護等の改革が必要」と考えている事になります。
では地域医療構想とは何でしょうか。これは3年前、国からの指示で各都道府県が策定したもので、2025年の医療需要を考えた病床数(全国で13万床削減)と病院機能の転換と適正化(急性期の患者さんが入院して治療する病院とそれ以外の病院、参考図参照)を決めたものです。横浜は人口が多いため病床数削減は必要ありませんが、病院機能の適正化を求められています。
その後、各地域の病院間で地域医療構想調整会議が行われていますが、各病院の利害関係に直結する内容のため順調には進んでいません。安倍首相の発言は、この停滞する会議に喝を入れたものと考えられます。国・厚労省は今後3年でこの改革を達成する目標を立てています。
当院のこの地域での役割は「最後の砦病院」として、重症患者さんを24時間いつでも受け入れ、高度医療を行う事です。紹介状を持たない方の受診制限や入院時からの退院支援は、当院がこの役割を保つためであることをご理解ください。良質で持続可能な社会保障制度を保つためには、地域病院の機能適正化が必須です。患者さん方にご不便な面もありますが、ご理解いただきます様お願いします。

参考図 病床機能の適正化について


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