院長メッセージ
『診療報酬改定と新型コロナウイルス問題』 2020年3月
桜の開花が今月中旬と予測されているように、今年は近年まれにみる暖冬の様です。早いもので院長として過ごした1年が終わろうとしています。当院は国立病院機構141病院内でも優良病院とされ、各種病院評価指標で上位となっております。これもひとえに当院を応援していただいている地域診療所や病院の先生方、さらに当院をご利用いただいている地域の皆様方のご協力のおかげと感謝しております。
来月から始まる令和2年度は、2年に1度の診療報酬改定の年です。患者さん方の医療費は全てこの制度に基づき計算されます(患者さん方の負担額が変わる可能性があります)。今回の診療報酬改定の大きな柱は「医師の働き方改革への対応」です。当院でも2月より全職員に対し職員証を使用した出退勤管理を行い、働き方改革への対応を開始しています。当院救命センターの様に、24時間365日体制で動く部門を持つ病院では、関連診療科医師の時間外勤務時間が増える傾向があり、当院でも長時間勤務時に必須な「産業医による面談」を行っている医師が複数存在します。
医師は、昔から自分の意思で自分の勤務時間を決めることが出来るプロフェッショナルな存在として考えられてきました。しかしその実態は緊張する現場で働く労働者であり、長時間勤務や当直、緊急呼び出し体制での負荷に耐えられず、体調を崩す医師は少なくありません。これにより休職する医師や、出勤しても能力を十分に発揮できない医師(疾病就業)が出ると、同僚医師が過負荷になるという複合的問題が出ることになります。
病院は「個々の医師がその能力を十分に発揮できる場」であるべきです。このためには適切な「働き方改革」が必要です。今回の診療報酬改定が、この問題に初めて踏み込んだことは評価に値すると考えます。当院も積極的にこの問題に対応していきます。
さて、2月からのダイアモンドプリンセス号をはじめとする新型コロナウイルス感染症問題で、皆様もかなり不安な日々をお過ごしと考えます。当院は高度急性期病院として、この問題に適切に対応するよう国や市から指示されています。現在、国の対応が日々変わる状況で、院内対応も日々更新するため、院内スタッフに多くの追加的な業務が生じています。当院をご利用される皆様にも面会制限やマスクの着用等のお願いしておりますが、ご理解いただくようお願いします。
このような新型の感染症は、世界の人々の交流が簡単な現代では、いつ生じてもおかしくない状況だと考えます。当院は常に「地域の医療を守る」が第一優先ですが、今回の様な突発的事態への対処も可能な病院として、スタッフ一同、努力を続ける所存です。
本年度は大変お世話になりました。来年度も当院をよろしくお願いいたします。