院長メッセージ
『地域の皆様の適正な受診とユニバーサルマスキングについて』 2020年8月
残暑お見舞い申し上げます。
記録的に長い梅雨が明け、猛暑の夏となりました。通常のコロナウイルス(コロナ)感染症の流行は冬です。このため新型コロナ感染症は「夏は収束する」と期待しましたが残念ながら異なる結果となっています。2月に東南アジアでの感染拡大から「夏でも収束しない可能性がある」の指摘がありましたが、これが正しかったようです。多くの関連情報が発信される現状で正しい情報を選択することは、我々医療者でも難しいと感じています。
今回の新型コロナ感染症は、予防に人々の行動制限を伴うため、多くの職種で業績が悪化しています。病院も同様で多大な影響を受けています。日本での感染が深刻化した3月から5月は新型コロナ感染症に関する情報が少なく、さらに感染防護具等の不足や緊急事態宣言の影響で、受診や入院が減るの仕方がないと考えていました。5月末に同宣言が解除された後は、病院に地域の皆様が一気に戻ると期待していました。しかし「夏は収束する」と同様異なる結果となっています。この状況を分析した結果、「社会の要因」(連日のコロナ関連報道、行政からの外出制限の依頼)や「病院の要因」(入院・外来の制限、病院スタッフのモチベーションの低下)、「患者さん側の要因」(入院・手術や検査の回避、ご家族の不安感増大等)等々、多くの事情が複雑に絡んでいる事が分かりました。現在は簡単には元に戻らないと考えを改めています。ただこの状況は病院業績の悪化だけでなく、地域への影響も大きいと考えています。
現在新型コロナ感染症は世界的に収束の目途が立っていません。今後年単位でこの感染症との係わりが続くと考えます。この間も各種疾患は一定の割合で発症し、診断が遅れると重症化する可能性が高くなります。慢性疾患をお持ちの方々は、疾患が悪化すると様々な感染症への抵抗力が下がります。適正な受診が、コロナ感染症だけでなく他疾患の患者や重傷者を減らす、病院の負荷を減らす、結果として医療崩壊を防ぐ事が出来ます。これが社会・経済活動を守る事にもなり、地域を守る事になります。この事をご理解ください。
受診に当たり、当院から患者さん・ご家族・ご面会の方々にお願いがあります。アメリカの有名な医学雑誌(JAMA)にユニバーサルマスキング(食事を除き常にマスクをする)は院内クラスター発生予防に有用である、という報告が出ました。この影響でしょうか、マスク装着を嫌がっていた米トランプ大統領もマスクを使い始めています。当院でも今月から院内でのマスク着用義務化を行っています。病院に入るときは必ずマスクを着用し、そして院内ではマスクを外さない事をお願いします。
当院はこの地域の中核病院として、新型コロナ感染症対応と通常診療体制の両立を行い、安全・安心な医療供給体制を保ちます。このためには皆様方のご協力が必須です。まずは、適切な受診と院内マスク着用(ユニバーサルマスキング)にご協力をお願いいたします。