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院長メッセージ

『コロナ禍の1年を経験して』 

2021年02月

 緊急事態宣言が出て1か月が過ぎました。11月に始まり正月明けの大混乱を招いた第3波は、少し落ち着いた感じを受けます。ただ中等症患者の入院数は高止まりしており、予断を許さない緊急事態宣言下ですので、引き続き外出や外食制限、面会制限等へのご協力をお願いいたします。
 今回の感染拡大はクリスマスから年末年始期間に行動制限をかけなかったツケが、1月中旬から下旬に一気に来たという状況の様です。家族が集まる期間と重なるため、家庭内感染が多発し患者数が急増したと考えています。11月の「勝負の3週間」がうまく機能していれば、正月明けは異なる展開になった様に考えます。早く第3波が収束し、そしてこの波の分析から新しい対応法等の情報が出ることを願っています。
 今月でコロナ対応も1年を過ぎました。ダイアモンドプリンセスが横浜に入港、船内クラスターに厚生労働省が対応、当院にも協力要請が入りました。しかし知識も感染防止用具も不足状態でしたので、この時は様々な問題が生じ対応に苦慮しました。「短期間勝負、ダイアモンドプリンセスが出航すれば問題は解決」と考え、何とか協力体制を作りました。まさか1年もこの状況が続くとは考えていませんでした。病院はこの1年で大きなダメージを受けました。しかしこの1年で当院スタッフのコロナ対応力が飛躍的に向上した事も事実です。最近では、新しい医療の流れが始まったという感覚を持っています。
 現在、日本では新規感染者数は減少傾向ですが、残念ながらこれによる死亡者数は減っていません。先月、国立国際医療センターの大曲先生(国や都の会議のメンバー)の講演で、新型コロナ感染症はパンデミック(大流行)というよりシンデミック(「特定の住民に2つ以上の病気が集中的に発生する事」造語)だ、との情報を得ました。つまり今回の新型コロナ感染症において「特定の住民」は高齢者で「2つ以上の病気」とはコロナ感染とすでにお持ちの合併症ということになります。つまり高齢で合併症を持つ方が感染すると、命に係わる危険性が高いという意味です。これは全世界的に認められ、コロナ感染者のうち75歳以上の割合が多いと、国全体のコロナ感染症死亡数が増える関係が認められています。
 ではコロナ感染予防は何でしょうか。新型コロナ感染症は、実は感染しやすい病気ではありません。感染が成立するためには、ある程度のウイルス量が必要であることが知られています。つまり感染者から出るウイルスを含む飛沫との濃厚接触を避ける事が重要です。
 今回の感染症の最大の問題は、症状が出る1~2日前がウイルス排泄のピークになる事です。このため感染源を特定し避ける事は不可能で、普段からの対応が重要となります。常にマスクをする、そして3密場面(日本発、世界で3C`sと呼ばれる)や家族以外との長時間の飲食を避ける、飛沫が出る場面を避ける、手洗い等の対策を行う等、一人一人の行動変容が必要となります。ただ、受診制限は上記のように、合併症の悪化を招き重症化へ原因となります。ぜひ適正な受診は、適正に継続するようお願いいたします。



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