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院長メッセージ

『昭和は遠くなりにけり』

2021年07月

 東京オリンピックが一部の地域を除きほぼ無観客で実施されると決まりました。「人が多いところ集まるところでコロナ感染症は蔓延する。」人口密度が上がるとコロナ感染症拡大が進む事はこれまでの経験から明らかです。無観客実施は残念ですが、医療者としては正しい判断だと考えています。

 前回の東京オリンピック時(1964年・昭和39年)、私は小学校1年生でした。聖火を迎えるため学校前の道路に並び手旗を振っていた事や、開会式中に自宅のテレビ(白黒でブラウン管式)の映りが悪くなり、テレビを叩いていた記憶が残っています(当時調子の悪い機器は叩くと治る事がありました!)。先月、菅首相は今回のオリンピック開催の是非を問う党首討論で、この東京オリンピックで感動した思い出を答弁していました。確かに女子バレーボール「東洋の魔女」やマラソンでのアベベ選手や円谷選手等の活躍に、子供の私でも「すごい」と思いました。しかし、この答弁が響くのは現役をほぼ引退した世代ですので、現役世代からすると「昭和を引きずった答弁」と言われても仕方がないように感じています。

 コロナ禍が続く令和3年度ですが、早くも上四半期が終了し、来年度の人事調整の時期となっています。当院は、全国最大の病院グループである(独)国立病院機構に属し、医療スタッフは、関東信越グループおよび国立研究開発法人の40病院間で異動があります。また医師も、関連大学での人事異動や、症例経験が重要視される専門医制度等に基づく病院間異動が実施されます。このため、私も当院の職員および医師名簿を見る機会が増えました。
 ここで気付いたのですが、当院で昭和に医学部を卒業した医師は私を含めわずか13名でした。当院には180名の医師が所属するので、9割以上が平成卒でした。女性医師も増え、現在50名以上の女性医師が勤務、研修医では半数が女性となっています。国立病院機構全体を見ても、昨年初の女性院長が就任、現在4病院が女性院長となっています。病院はもともと女性職場(職員の70%以上は女性)ですので、女性医師や管理者が増える事は当然の流れと考えています。病院では、昭和を引きずる男性中心の政界と異なり「世代交代とジェンダー平等が進みつつある」と実感しています。私としては有名な俳句の1節を借り、「昭和は遠くなりにけり(良い意味で)」という思いです。

 昭和世代の我々は、前回の東京オリンピック後、社会が急速に変化する様を目の当たりにしました。今回のコロナ感染症もゲームチェンジャーと呼ばれており、社会がすべての面で変化する「ポストコロナ時代」が訪れると考えられています。これが再びオリンピック後に来るのも不思議な時代の流れなのかもしれません。今後、医療もさらに大きな変革が求められます。当院は本年をDx(デジタル改革)元年として、ポストコロナ時代に向け対応を開始しました。今後もこの地域での良質な医療を保つよう努力いたします。

 今年も大きな土砂災害を起こした梅雨も明け、夏本番を迎えます。マスクをする令和の夏は「熱中症」の危険度を高めますので、水分補給や暑さ対策、ソーシャルディスタンス(屋外で2m間隔をとればマスク不要)等に十分留意してお過ごしいただくようお願いします。
 コロナ対策の切り札であるワクチン接種が進捗し、「コロナ禍最後の夏」そして「コロナは遠くなりにけり」と書く日が早く来ることを願っています。



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