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院長メッセージ

『コロナウイルス感染症と今後の社会』

2022年11月

 コロナウイルス感染症対応を開始して2年8か月がたちました。人類史上最悪と言われている百年前のスペイン風邪(インフルエンザ)感染症は3年目で終息したといわれていますが、残念ながら今回はまだ終息とは言えない状況です。ただ治療が確立したことや社会活動への影響を考え、各種の規制は解除されました。世界中で日常が戻っています。かつて猛威を振るったインフルエンザと同様、コロナと共生する時が来たようです。ぜひ継続的なワクチン接種と適切な感染対策をお願いします。
 さて先月末(10月25日朝刊)日本経済新聞社が同紙面に全面広告を出しました。内容は「新型コロナウイルス対応のため、政府が用意した12兆円の「コロナ予備費」。その9割は、使い道が判明していない」というタイトルと円グラフ、そして「どうしてこうなった?」という問いかけです。皆さんどう思われますか。今回の予備費は国家予算の1割以上の臨時支出で、多額の財政赤字を持つ日本では継続不可能、さらにこの巨額支出の適正性の精査が必要、という内容に思えます。
 この予備費から医療向けに3兆円を支出したと言われています。ワクチンや感染対策費用等適切な支出も多いですが、「幽霊病床」という報道もあり、我々医療者も反省すべき点はあります。ただ医療施設は、毎月すべての診療行為に対し、診療報酬請求とその後の審査を受けます。つまり支払いを受け、不適正な診療行為の場合には費用を返納するシステムがあり、補助金についても同様の対応が行われています。実際、会計検査院の立ち入り審査で返納命令が出た医療機関もあります。このように「使い道がわかっている1割」は主に医療向けと考えます。
 では他の9兆円は何に使われたのでしょうか。日本の年間税収の14%(2021年65兆円)にあたる金額です。
 政府が実施した行動制限等の規制により、飲食店や旅行関連業者等が経営危機に陥ることは必然です。雇用を維持し社会を保つため、国が補助金を出すと事は当然だと考えます。しかし、本当に必要な人・物・組織等にこの補助金が使われたのか精査されていないのが現状です。確かに補助金詐欺容疑で公務員等が逮捕されています。しかしその容疑内容は数千万から数億単位と9兆円の0.01%にも達しません。後の99.99%以上の補助金の使途が不明瞭なことのほうがはるかに大きい問題だと考えます。
 「本来なら廃業すべき企業(ゾンビ企業)を延命した」「ばらまきではなく目的を持った補助金を」等の記事が、マスコミ各社から出ているように、今回の国の対応に疑問を持つ方は多いと考えます。
現在世界はインフレに直面しています。日本もその流れから逃れられません。今後は予備費を適正に使い、各種値上げに汲々としている人や組織の援助を行うとともに、同時に予備費に頼らない抜本的改革にも取り組む必要があると考えます。世界が混乱期に入ろうとしています。今は国の動向に注目すべき時だと感じています。

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