院長メッセージ
『防災週間 -気候危機、災害そしてコロナ感染症-』
2022年9月
9月1日は防災の日で、この日を含む週は防災週間です。関東大震災の発生日かつ台風被害が多い二百十日(立春から210日)がこの週、という事で決められたようです。
今年は世界中から熱波や洪水、干ばつ等の異常気象による災害が多数報道されています。日本でも6月から猛暑日が続き、気象庁専門家会議が「異常気象」という見解を出しました。まさに「災害級」と言われる天候が日常になっている様に感じています。
この状況は海外では「気候変動」ではなく「気候危機」「気候崩壊」と呼ぶべき深刻な状況と認識され、脱炭素に社会を挙げて取り組んでいます。かつて日本は、国や企業が推進した太陽光発電や電気自動車等、脱炭素への取り組みで世界をリードしていました。しかし現在はこの分野で世界から遅れている状況です。「気候危機」を防ぐためには、CO2排出量の多い先進国の対応が重要です。日本も更なる対応が必須です。今後は国や企業任せではなく、市民一人一人の意識改革が必要と考えます。リサイクルや脱炭素の取り組みにご協力をお願いします。
さて、当院は被災時に医療を提供し、そして地域を守る災害拠点病院です。さらに全国各地から支援に来るDMAT(災害派遣医療チーム)活動拠点および重症被災者の広域搬送を担う広範搬送拠点臨時医療施設(SCU)の指定を受けています。2019年には全国で実施された内閣府主催の大規模災害対策訓練にこの役割で参加しました(2019年9月の院長メッセージに詳細記載)。
何の巡り合わせでしょうか、その年は複数の台風災害に遭いました。当院でも屋上の設備や自転車置き場の屋根が破損、緑地の木が複数倒れる、屋上・ベランダの排水口が飛来物で塞がれ、複数の病棟で浸水する(2階・4階で水害に遭うとは予想外)等々の被害に遭いました。この時、訓練での経験が生きました。迅速な災害対策本部の立ち上げから各種情報(被害や職員の出勤状況、各種医療機器の稼働・復旧情報等)の一元管理を行い、結果として適切な病院機能を保ちました。またこれと同様の対応を「災害級」の状況となった新型コロナウイルス感染症にも適用した事で、「市内で最もコロナ対応と一般診療体制を上手く行っている病院」という評価を横浜市から得たと考えています。
現在当院は、災害拠点病院としての能力を上げるため、敷地内で非常用発電装置および燃料タンクの増設工事を実施しています。年内に完成予定です。完成後は突然の災害等による停電でも3日間以上病院機能を保つ事が出来ます。工事中は大型工事車両の通行や工事に伴う騒音等でご迷惑をお掛けすると思いますが、ご理解いただきます様お願いいたします。
コロナ禍が始まってから2年半が過ぎました。幸いな事にこの間、横浜は地震や台風等の災害には遭っていません。これから台風シーズンに入ります。コロナ禍での避難や避難所での生活は非常に難しい問題があります。第7波に対応する病院の院長として、出来れば今年も災害が起こらない事を望みます。ただ「天は自ら助くる者を助く」という諺もありますので、準備は充分整え、そして備えます!