救急・総合診療科
当院救命救急センターでは
1:垣根が低く、フットワークの軽い救急・集中医療の展開
2:職種を超えたチーム医療の実践
3:救急・集中治療を通じた双方向的な医学教育の実践
がモットーです。
概 要
当院救命救急センターは、平成22年4月1日に当院が横浜市南西部地域中核病院に指定されたことに伴い、戸塚区を中心とする横浜市南西部地域及び隣接地域をカバーする救命救急センターとして機能を大幅に拡充し新装されました。
救急・総合診療科は当院救命救急センターの専従医として、専門医を中心に現在12名のスタッフで構成され、地域救急の要として生命にかかわる重症な急性傷病の方々に対して、その命を守る「最後の砦」となるのみならず、地域の医療ニーズに応えるため、救急搬送されるほぼ全ての症例に対して初期診療から入院治療まで幅広く関わっています。
また、当院救命救急センターは近隣医療機関からの転送依頼にも積極的に応需し、当センターで加療し容体が落ち着き次第地域の医療機関にその後の治療継続をお願いするという連携体制を構築することで、相互の機能を生かした地域完結型の救急医療・集中治療を提供しています。
診療方針
・救急・総合診療科医師は救命救急センター内での診療の核となり、かつ各専門科の医師とも密接に連携をとりながら正確な診断と適切な診療を行っています。
・当院救急外来は重症度・緊急度別に診察ゾーンが3つに分かれています。救急・総合診療科医師は24時間365日院内に常駐しており、救急外来において集中治療を必要とする重症(3次救急)患者の診療のみならず、救急車で来院される軽度・中程度患者の診療にもあたっています。
・救急車以外で来院される患者さんの中にも重症な患者さんが混在するので、トレーニングを受けた看護師がトリアージ(緊急度、重症度の選別)を行い、診察・治療の優先順位を決めています。そのため必ずしも受付け順に診察が始まるわけではありません。
・救急外来で診察させていただいた症例については、重症な急性傷病症例や病態や病状が複雑である症例に関しては当科が主科となり引き続き救命救急センターで入院治療にあたります。また、必要に応じて、それぞれの専門科へ入院していただいたり、外来へ通院していただいたりすることも可能です。
・3階の救命救急センターは、高度化する救急医療および集中治療に対応可能で十分なスペースを確保した10床のICU、個室4床を含む20床の救急病棟を有しています。
・同じフロアには手術室が連結し、麻酔科とも密接に連携していますので、緊急手術にも24時間対応しています。
当科の特色
・当科がもっとも力を入れているのがチーム医療とカンファランスにおけるプレゼンテーションを通じた教育です。現代の救急・集中治療は個人の力のみで行うことは不可能で、チーム医療なしで絶対に成り立たちません。そしてチームで最善の医療を行うためには、「情報を共有し思いを同じにする」ことが最も大切です。
・チーム医療である限りプレゼンテーションが命であり、それにより初めて自分の得た情報が皆で共有され、よりよい医療が可能になります。最善の医療を提供するためにはプレゼンテーション能力は不可欠です。そしてその目的に合わせて簡潔に過不足のないプレゼンテーションをするためには患者さんに寄り添い、深く理解していることが前提となります。
・当院救命救急センターでは、毎日カンファランスと病棟回診を行い、そこでは初期臨床研修医や看護スタッフも加わって、症例と疾患の知識の情報共有と、「この症例の現在の問題点は何なのか?病状を好転させるためにはどうしたらよいのか?」など患者評価と治療方針の徹底的なディスカッションを行っています。初期臨床研修医にはこのカンファランスを通じてプレゼンテーションの大切さを教え、また論理的診察方法とプレゼンテーション技法の指導も行っています。
・初期・後期臨床研修医の救急・集中治療領域における各到達目標や手技に対しては当科スタッフが1対1で指導にあたっています。
・地域完結型医療を目指し、患者さんに寄り添う医療の中で、比較的軽症の症例から重症の症例まで幅広い症例を受け入れていることも当科の特色と考えています。
・当センターは研修中の救急救命士や救急隊員のための救急隊控室も準備しており、救急隊員とも指導教育を通じた連携を深めています。院内には各種のシミュレーションが行える部屋も整備し、インストラクター資格を有したスタッフが指導にあたれるようにしており、各種院内コースが開催されています。
診療実績
令和3年度救急・総合診療科が取り扱った救急車は5,528台、軽症37%、中等症・重症63%と総ての重症度がバランスよくカバーされ、救命救急センター入院数は年間2642人、うちICU入室は年間1252症例でした。
救急・総合診療科実績
受診患者数【病院全体】 | 入院件数 | 軽症 | 中等症・重症 | |||
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救急外来受診 | 救急車受入台数 | 【救命救急センター】 | 【ICU】 | |||
平成24年度 | 12346 | 3987 | 2374 | 662 | 45% | 55% |
平成25年度 | 12608 | 4232 | 2696 | 759 | 42% | 58% |
平成26年度 | 13040 | 4312 | 2847 | 891 | 46% | 54% |
平成27年度 | 13154 | 4324 | 2844 | 885 | 33% | 67% |
平成28年度 | 13530 | 4782 | 3110 | 983 | 36% | 64% |
平成29年度 | 13229 | 4965 | 3334 | 1145 | 35% | 65% |
平成30年度 | 13135 | 4883 | 3069 | 1155 | 36% | 64% |
令和元年度 | 12974 | 5050 | 3211 | 1212 | 36% | 64% |
令和2年度 | 13464 | 4650 | 3262 | 1298 | 32% | 68% |
令和3年度 | 12469 | 5528 | 2642 | 1252 | 37% | 63% |
救急応需率 | |
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対象疾患
救命救急センターで救急・総合診療科が取り扱う主な傷病は、脳血管障害(脳卒中)、重症心疾患、重症呼吸不全、重症膵炎、肝不全、敗血症や多臓器不全、事件事故や労災などによる多発外傷、さまざまな中毒、ショックを伴う傷病、熱傷、窒息、溺水、環境異常(熱中症、低体温症)、心肺停止などがあげられます。
多施設共同研究
① 当科では、「敗血症に合併する播種性血管内凝固症の予後を予測するための多施設共同研究」に参加しています。この研究のために、一般の採血に合わせて追加項目の測定を行います。薬剤投与などは伴いません。入院時にご説明申し上げる事は有りませんので、あらかじめお知らせいたします。ご協力をお願い申し上げます。
② 「経皮的心肺補助離脱のデイリー予測スコア作成に関する研究」
③ 「日本外傷データバンクへの外傷患者登録と登録データを用いた臨床研究」
④ 「急性膵炎、慢性膵炎、自己免疫性膵炎の全国調査」
⑤ 「高齢者救急集中治療に対してフレイルが及ぼす影響についての多施設共同研究」
臨床研究
① 「大腸穿孔症例の治療法に関する検討」
ドクターカー
当院では平成29年4月よりドクターカーの運用を開始しました。
ドクターカー(RapidResponseCar)とは、救急現場において搬送よりも現場での医師による処置が必要と判断された際に、消防局からの要請により医師・看護師等の医療スタッフ、現場で行う処置に必要な医療器材を搭載して現場に急行するための緊急自動車です。ドクターカーは規定により患者さん搬送を行うことは出来ません。そのため、救急隊との連携を図り、医師らが救急現場で処置を行い消防救急車による搬送を行います。「フットワークの軽い救急・集中医療の展開」を行うべく、いち早く現場に急行して一人でも多くの患者さんを救う為の準備を日々行っています。
運用時間 平日9:00~16:00
運用については従来の消防からの要請による出動のほか、中核病院として地域医療機関との連携を目的とした運用も現在計画中です。
ドクターカー活動実績
⇒詳細はこちら
・活動事例1(一般住居への出場)
・活動事例2(医療機関への出場)
・ドクターカー活動の様子(作成中)
外来診療担当医
スタッフ紹介
役 職 | 氏 名 | 専門分野 | 認定医・専門医 |
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副院長 救命救急 センター長 医療安全管理 部長 |
ふるや りょうすけ 古谷 良輔 |
救急医学 集中治療医学 麻酔科学 総合診療 医療安全 危機管理・BCP |
医学博士 横浜市立大学医学部救急医学講座 臨床教授 日本専門医機構 救急科専門医 日本救急医学会 指導医・評議員 日本救急医学会関東地方会 幹事 日本集中治療医学会 集中治療専門医・評議員 日本専門医機構 麻酔科専門医 日本麻酔科学会 指導医 日本専門医機構総合診療専門研修 特任指導医 日本スポーツ協会 公認スポーツドクター 臨床研修指導医(厚生労働省) 日本DMAT隊員・統括DMAT登録者 横浜市災害医療コーディネーター 民間メディカルコントロール医師 民間メディカルディレクター |
救急科部長 副救命救急 センター長 |
おおつか つよし 大塚 剛 |
救急医学 集中治療医学 麻酔科学 医療安全 |
日本専門医機構 救急科専門医 日本集中治療医学会 集中治療専門医 日本麻酔科学会 標榜医 日本中毒学会 クリニカル・トキシコロジスト 臨床研修指導医(厚生労働省) 日本DMAT隊員・統括DMAT登録者 |
副院長 感染制御部 部長 |
みやざき ひろし 宮崎 弘志 |
救急医学 麻酔科学 集中治療医学 総合診療 成人教育 |
医学博士 日本専門医機構 救急科専門医 日本専門医機構 麻酔科専門医 日本麻酔科学会 指導医 日本集中治療医学会 集中治療専門医 臨床研修指導医(厚生労働省) 日本プライマリ・ケア連合学会認定指導医 日本プライマリ・ケア連合学会認定プライマリ・ケア認定医 AHA-BLS/ACLS インストラクター 日本DMAT隊員 |
医 長 | ふるごおり しんたろう 古郡 慎太郎 |
救急医学 集中治療医学 血管内治療 |
医学博士 日本専門医機構 救急科専門医 日本救急医学会 指導医 日本集中治療医学会集中治療専門医 IVR専門医 臨床研修指導医(厚生労働省) 日本救急医学会 ICLSインストラクター 日本DMAT隊員 |
医 長 感染制御部 副部長 |
ほりうち ひろし 堀内 弘司 |
救急医学 感染症学 |
日本専門医機構 救急科専門医 日本感染症学会 専門医 抗菌化学療法認定医 インフェクションコントロールドクター |
医 師 | にいだ しょうこ 新居田 翔子 |
救急医学 集中治療医学 |
日本専門医機構 救急科専門医 日本集中治療医学会 集中治療専門医 神奈川DMAT-L隊員 |
医 師 | ひらの たかし 平野 孝士 |
救急医学 集中治療医学 麻酔科学 血管内治療 |
日本専門医機構 救急科専門医 麻酔科標榜医 日本救急医学会 ICLSディレクター |
医 師 | さかぐち ゆうたろう 坂口 裕太郎 |
救急医学 外科学 集中治療医学 |
日本救急医学会 日本外科学会 日本集中治療医学会 神奈川DMAT-L隊員 |
医 師 | しのみや よしえ 四宮 祥恵 |
救急医学 集中治療医学 |
日本救急医学会 日本集中治療学会 |
医 師 | あおき ひさと 青木 久遠 |
救急医学 | 日本救急医学会 日本集中治療学会 |
医 師 | かい ふみかず 甲斐 史一 |
救急医学 | 日本救急医学会 日本集中治療学会 |
医 師 | おおひら りょう 大平 瞭 |
救急医学 | 日本救急医学会 |
医 師 | いわした まさゆき 岩下 眞之 |
救急医学 集中医療医学 麻酔科学 |
医学博士 日本専門医機構 救急科専門医 日本救急医学会 指導医 日本集中治療医学会集中治療専門医 日本専門医機構 麻酔科専門医 日本麻酔科学会 指導医 インフェクションコントロールドクター |
医 師 | もちづき さとし 望月 聡之 |
救急医学 消化器外科学 総合診療 |
医学博士 日本専門医機構 救急科専門医 日本外科学会 外科専門医 日本消化器病学会 消化器病専門医 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 日本消化器外科学会 消化器外科専門医 日本消化器外科学会 消化器がん外科治療認定医 日本腹部救急医学会 腹部救急認定医・教育医 日本プライマリ・ケア連合学会認定指導医 日本プライマリ・ケア連合学会認定プライマリ・ケア認定医 日本専門医機構総合診療専門研修 特任指導医 臨床研修指導医(厚生労働省) JATECインストラクター JPTECインストラクター・世話人 神奈川DMAT-L隊員 |
医 師 | みずかみ さおり 水上 紗緒里 |
救急医学 | 日本救急医学会 日本集中治療学会 日本放射線学会 日本IVR学会 |
医 師 | まつもと ゆきな 松本 雪菜 |
救急医学 集中治療医学 |
日本救急医学会 日本集中治療医学会 日本呼吸療法医学会 |
救急救命士 | よしだ あつし 吉田 敦 |
プレホスピタルケア 危機管理・BCP 成人教育 |
民間認定救急救命士(民間救命士統括体制認定機構) MCLSインストラクター・世話人 JPTECインストラクター・世話人 ITLS Advance/ Pediatricインストラクター 日本救急医学会 ICLSインストラクター 日本DMAT隊員/ロジスティクスチーム登録者 |